Hello!#09
Neighbors
日常に寄り添って日々に
小さな豊かさを添えるもの
be born 主宰
浅野 由記⼦Yukiko Asano
そのアートピースのような唯⼀無⼆のデザインに、
ファッションやアート業界関係者からも⽀持を集める
ネイル
サロン「be born」を主宰する浅野由記⼦さん。
いつの時代にも⼼奪われる存在でありたいという
“タイムレス”な魅⼒を探求する
浅野さんと不朽のジュエリーを⽬指すアガット。
⼩さいながらも⾃分らしさを補ってくれる
ネイルとジュエリーという存在を通じて感じて欲しい、
思いを語り合いました。
“好き”を追求することで新たな価値観を⽣み出す
アガット商品企画 大森庸恵(以下大森) 独⾃のセンスを持つ「be born」さんのネイル。今の世界が確⽴された経緯をお聞きしたく、まずはネイリストになられたきっかけから伺えますか?
浅野 由記⼦(以下浅野) ⾼校⽣の時にパリコレの映像を観てヘアメイクさんに憧れて養成学校に⼊りました。そこでネイリストの講師に、⽖の⼿⼊れとマニキュアの塗り⽅も教わって。その時に、“指先がキレイになるだけでこんなにも気分が変わるの?”とすごく感動してネイリストの道を⽬指しました。当時はネイルサロンが今ほど⼀般的ではなかったので、ネイリストならまだ誰もやったことのないことを表現できるのかもとワクワクしたんです。
大森 「be born」に初めて伺いましたが、ネイルサロンのイメージにない、コンテンポラリーな雰囲気が素敵ですね!
浅野 そもそもネイルサロンを始めるというより、ネイルで⾃分のブランドを作るという気持ちが強かったんです。だから空間も⾃分のデザインするネイルの雰囲気に合わせたくて、シンプルだけど、エッジが効いた世界を空間で表現しようと思いました。
大森 すごく伝わってきます! 浅野さんの⼿がけるネイルアートとお店の雰囲気がすごくリンクしていますよね。
浅野 ブランドを確⽴するためには普遍的で明確なイメージが必要だと思ったので、オープン前の1年間を⾃分の好きなものを突き詰める作業に費やしました。その結果、⾃分はクラシックなもの、つまりディテールの美しさやテクスチャーなど、⼤枠よりも細部が好きなんだなって気がついて。装飾的なネイルより、⾊ひとつ、線1本に対しても意味を求めていくミニマルさをお店で象徴しているのかもしれません。
バックグラウンドを知ることで⽣まれた
情緒的な⾊彩
大森 今回私が浅野さんとお話させていただきたいと思ったきっかけのひとつが、“⾊”に思いをのせるというところに共通点を感じたからなんです。浅野さんの⾊へのこだわりは、「be born」のオリジナルカラージェルにも表れていますよね。こちらのコレクションはどういった経緯で⽣まれたのでしょうか?
浅野 コロナ禍に夫と息⼦2⼈と私の家族4⼈にロックダウンと⾔う、急な春休みのように過ごした時期があったんです。⾃宅のバルコニーにリビングを作り、毎朝5時くらいに朝⽇を眺めながら朝⾷を⾷べ、⼣⽅5時半には⼣飯を⾷べてという⽣活で。あの頃、世界中がストップしていたせいか、東京なのに満天の星空を望めて。移り変わる空の⾊の美しさに触発されて、この⾊をネイルカラーで表現できたらと思ったのがきっかけでした。
大森 ⽇本にまつわる、⾊のネーミングセンスにも惹かれました。
浅野 ⽇本に古くから伝わる「⼋百万の神」という、万物に神が宿るという考え⽅についてちょうどその時期に本で読んだんです。空の移ろう美しさや⽇本の四季、“いただきます”という⾔葉使いなど、刹那的な美を愛しく思う伝統に“これが私たち日本人のスピリットだ”って腑に落ちた気がして。繊細な⾊の世界を、ジャポニズム的な⾔葉で発表したくなりました。
大森 ⾊と共に⾒ると、⾔葉の情景がありありと浮かびますね。この「可惜夜(=あたらよ)」という⾊は、グレーの⾊味がアガットの⼈気⾊であり、私たちがブランド創設時から特別に思っているラブラドライトという天然⽯にすごく似ていて、⾒つけた時に思わず⿃肌が⽴ってしまいました! この淡いグレーの良さを分かち合えたのが嬉しくて…。
浅野 そう⾔っていただけると嬉しいです! ネイルもジュエリーも、⾃分とリンクする⾊を⾒つけるという楽しみがありますよね。ファーストコレクションは、朝、⼦どもたちとお花に⽔をあげている時に、⽔滴がキラキラと太陽の光に反射して“1⽇が始まる!”っていう⽣命⼒の強さを感じ「⽇の出」と名づけたのが始まりでした。こういった暮らしの中での⼩さな気づきで感じる美を、ネイルで伝えられたら嬉しいです。
⼩さな輝きから得られる充⾜感
大森 今⽇お持ちした34周年のアニバーサリーを記念して発売するコレクションから、浅野さんが選んでくださったアイテムに合わせて、コーディネートさせていただきました。普段は⼤ぶりなものが多いと伺ったのですがファーストインプレッションで選んでいただいたのが華奢な天然⽯のネックレスだったので、思わず贅沢に重ね着けをしてみました。着けてみていかがですか?
浅野 こういった⼩さくキラキラしたものって、それだけで気分が上がりますね! ⼥性らしくて繊細なので気持ちがしゃんとして、1⽇を⼤切に過ごせそうな気がします。特に⼿元のスタイリングは、こんな遊び⽅があるんだっていう⾃分にない感覚がとても勉強になりました。
大森 そう⾔っていただけると嬉しいです。
浅野 私もサロンに来てくださったお客様に“テンションが上がりました”とか“(気持ちが)整いました”って⾔われると嬉しくなります。まさにその時の気分を味わえているような。
大森 ジュエリーとネイルの共通点は、そういう些細な幸せにありますよね。
浅野 本当に! ネイルカラーはせず、気持ちを整えるためだけにネイルケアやツヤ出しだけをして帰られるお客様もいらっしゃったりして。ジュエリーもネイルもふとした瞬間に⽬に⼊るものだから、お客様がご機嫌でいられるものを提供できるといいですよね。
⽇常になじむのに個性がある、受け継がれるための謙虚さ
大森 つけていただいたアニバーサリーのジュエリーは、ここ最近のコンセプトが誕⽣⽯や星座⽯などというように365⽇の中で必ずある記念⽇のために、よりパーソナルなものを届けたいという思いから⽣まれました。夏⽣まれの⼈は夏が、冬⽣まれの⼈は冬が好きな⼈が多いなと思うことがあったので、今年は好きな季節のジュエリーを楽しんでもらえるように「四季」というテーマに。
浅野 ⾃分⾃⾝に関連づけられるジュエリーって、思い⼊れが深まりますね。ジュエリーにもネイルにも⾔えますが、やはり⼈は物語のあるものに惹かれますよね。そういう意味で、アガットさんのジュエリーはどの時代に⾝につけても⾊褪せない気がしています。
大森 そんなふうに⾔っていただけて嬉しいです。特に今回の「四季」に関しては、これまでアガットがイメージしてきた季節の⾊を⼀度リセットしたんです。例えば浅野さんにつけていただいたエメラルドのリングは「春の欅」をイメージしたものなんです。今までは春ならパステルカラーを使いがちでしたが、あえて⾟⼝なシルバーにシックな煌めきのマーカサイト添えて⽇常に寄り添うデザインに落とし込みました。そうすることで、新しいのにずっと⾝につけていたような味わい深い雰囲気が出せたらなって思っていたので。
浅野 どの時代にもマッチするジュエリーという意味で、アガットさんはタイムレスというイメージです。
時代を超えても愛されるために必要な
“削ぎ落とす”という感性
大森 実はアガットのブランドコンセプトのひとつも“タイムレス”なんです。今年で34周年を迎えるんですが、創設当時のものが今でも⾊褪せないデザインであるように、今⼿がけているジュエリーも同じく34年後にも琴線に触れるようなデザインでありたいなって思っていて。
浅野 実は、「be born」も“タイムレス”がテーマなんです。「be born」は今年で8周年になるんですが、オープン当時は“TOKYOカワイイ”みたいなデコラティブなネイルかコンサバ系のネイルの時代でした。今から⾒ると“こういうデザインの時代だったね”という記録としてはとらえられるけれど、現代に反映されるデザインではなかったんです。オードリー・ヘップバーンがいつの時代にも輝きを失わないように、時代を超えても愛されるネイルというものを追求したくて。そうして流⾏に左右されない “⾊でできること”というところに⾏き着きました。何⼗年後かにそのネイルを⾒ても、“イケてる”って思われたいんです(笑)。
物⾜りなさを感じるぐらいの余⽩が、惹きつけるポイント
大森 冒頭でもおっしゃっていたように、“ミニマルであること”=引き算することは「be born」さんの“タイムレス”というコンセプトを⽀える上でも重要なキーワードなんですね。
浅野 そうなんです! お客様に施術する際、その⽅のファッションとネイルのバランスを想像した時にネイルが主張しすぎないようにというのを⼼がけています。今までのネイルってそれ⾃体が“ファッション”として単独で成り⽴ってしまう存在でした。だから洋服もネイルも100%主張することに違和感があって…。
大森 わかります。数年前に学んだココ・シャネルの名⾔に、“家を出る前に鏡を⾒て、⾝につけているアクセサリーをひとつ外して”というのがあって…。私はむしろひとつ⾜していたってハッとさせられて…(笑)。私もジュエリーの仕事に携わる以上、お洋服を引き算してシンプルにしようっていうことができるようになってきたところです。
浅野 私にとって、ネイルも同じようにあくまでもその⼈らしさをキュッとまとめてくれるものという位置づけで。でも、そういう考え⽅のネイリストさんってあまりいらっしゃらないかもしれないですね。
大森 例えばもうちょっと⾒たかったドラマや⾷べたかった⾷べ物の⽅が、後から思い出した時に⼼惹かれますよね。朝、決め決めでつけたジュエリーがお昼には急にトゥーマッチに感じてしまったり。もう少しって思わせる余⽩って⼤事な気がします。
ジュエリーを選ぶ最⼤のコツは
⾃分の機嫌が取れるかどうか
大森 浅野さんの結婚指輪はアガットのものだと伺って。ぜひその際のエピソードをお聞きしたいです。
浅野 当時の結婚指輪といえばプラチナが主流。でも私は⼩さなダイヤモンド付きのゴールドリングに憧れていたので探し回った結果、アガットさんで⾒つけたんです。私は⾃分が選んだ結婚指輪を⾃分のお⾦で買いたいっていうタイプだったんですが、そもそも結婚指輪を⾃分で選んでもいいのかな?と悩んでいたんです。その時に対応してくださった店員さんが「⾃分がご機嫌なのが⼀番じゃないですか?」と⾔ってくださって。そっか、ジュエリーってそういうものだよねってワクワクさせてくださったので、絶対にその⽅から購⼊したいなって。
大森 素敵なご縁があったんですね! 親指のリングも、アガットでご購⼊いただいた旦那様の結婚指輪だとか。
浅野 夫はメイクアップアーティストでリングをつけられないので、もらう前提で私が選んだんです(笑)。2つ組み合わせてつけるならどれかな?って。
大森 ⻑い間アガットに在籍していますが、初めてお聞きした使い⽅です。そういう提案も良いですね!
浅野 よかったら皆さんに勧めていただけたら(笑)。基本的にその⽇のファッションに合わせてジュエリーは替えますが、この2つのリングは必ずつけています。私にとってジュエリーにおけるベース的存在なんです。
大森 ⼤切に愛⽤してくださって感激です! アガットのリングの中でもマリッジリングは、ずっとつけていただくものなので、つけている時になるべく肌あたりが滑らかになるようにデザイナーが意識してくれているんですよ。
男⼥の垣根を越えて、⼼を豊かにするものを提供していきたい
大森 10年後のビジョンはありますか?
浅野 私は未来がわからない⽅が楽しめるタイプなんです。今、動き始めているコラボレーションも⽇本で初めての試みだと伺って、とてもワクワクしています。そんな感じで、ネイル業界に新しい道を作っていけたらなって。⼤森さんはいかがですか?
大森 10年後は、アガットがもうすぐ45周年を迎えようとしているときですね! これまでのように⾝につける⼈にとっての唯⼀無⼆のジュエリーを届けたいという思いと、もうひとつ考えているのが男性と⼥性の垣根を越えたジュエリー作りなんです。
浅野 その気持ちわかります。今でこそ⼀般的ですが、オープン当初からメンズネイルも⾒据えて内装を考えていた部分もあったので。
大森 すごい! 10年も前からその発想があったんですね。今までアガットは、⼥性の社会進出を経験したことで、⼥性が⾃分で選んで買うジュエリーをコンセプトにしていたんです。それなら次は逆ではないかと。今まで⼥性にジュエリーを贈っていた男性も、⾃分のために⾃分の気分を上げられるようなジュエリーを⼿に⼊れられないかと。そんなジュエリーを今後は作っていきたいですね。
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