セルフケアは
自分と正直に向き合うこと

アガット商品企画 大森庸恵（以下大森）　「fragrance yes」は、植物由来のスキンケアやアロマ製品を提供するブランドですよね。

山野辺喜子（以下山野辺）　はい。「yes」の製品はすベての人に安心してお使いいただけるように、ナチュラル・オーガニック素材を丁寧に選び作っています。

大森　山野辺さんがご自身で香りの素材選びから調合まで一貫して行っているんですよね。もう一つの肩書きは「セラピスト」なんですね。

山野辺　私は「yes」の商品を通して「セルフケア」というライフスタイルそのものを提案しているんです。ただ良い香りの商品を売るだけではなく、まずはカウンセリングをして、お客さまが抱えている不安や悩みに寄り添う形で商品をおすすめしています。
今日は、そんなメディカルアロマで大森さんの悩みや不調などに合わせた香りを作らせていただきました。

取材前にカウンセリングをしていただき、そこで大森さんが選んだ5つの香りを調合して作ったアロマスプレー。大森さんの好きな柑橘系の香りをメインに、深いリラックスと少しの活力を与えてくれるような香り。

大森　単純に好きな香りを選んだつもりだったのですが、山野辺さんに「これはホルモンバランスの乱れを整えてくれる香りなんですよ」と言われて、ドキッとしました。毎年気をつけるようにしているんですが、ちょうど今の時期、私はすごく体調を崩しやすいんです。忙しくなるとついついケアを二の次にしてしまう。
色々ヒアリングしていただき、今の状態に気づけたことがすごく新鮮でした。

山野辺　私はカウンセリングするときに、「こうです」と断定するのではなく、ご自身で気づいてもらいたいなと思っているんです。
「今、心や体の悩みはありますか？」という質問の答えを紙に書いてもらって、書き出したときに「では、この悩みの原因として思い当たることはありますか？」と聞くと「言われてみれば最近仕事がすごく忙しくて」とか「ちょっと嫌なことがあって」と、自分で原因に気づいてくださるんですね。
うちにきて改善するというよりは、自分への“気づき”の場として在りたいと思っているんです。

クリスマスのリースの端材であるスギやユーカリを蒸留し、香り成分を抽出する工程。

大森　山野辺さんがセラピストを志したのは、ご自身の経験がきっかけだと伺いました。

山野辺　もともと私はアトピー体質でした。子どもの頃から症状が酷くて、ステロイドを処方してもらって抑えていたのですが、20代前半のときに上京して一人暮らしをするようになってから、水が変わったり、食生活が乱れたりして、さらに悪化してしまって。名医と呼ばれる皮膚科医にかかっても改善せず、時間とお金だけを消費していました。

大森　大変でしたね……心身の負担が大きそうです。

山野辺　そんなとき、偶然出会った整体の先生に「もし本気で治したいなら、自然療法をおすすめするよ」と言われて、食事療法、体質改善を始めました。ただ、症状を抑制する薬を止めたことで、一時は逆に酷くなってしまい、とても苦労しましたね。市販の敏感肌用、赤ちゃん肌用のスキンケア用品を色々試したのですが、どれも肌に合わなくて。それで色々と調べてみたら、天然素材だけでスキンクリームを作れることを知りました。それがアロマやハーブとの出合いでした。
自分の体のために手作りして使い続けながら、自然療法について学んでいき、５年くらいかけてゆっくりと改善していきました。

大森　長かったですね。

山野辺　やっぱり自然のものって即効性があるわけではなく、緩やかに作用していくものなので。かなり時間はかかりましたが、それが私の人生の大きなターニングポイントでした。大森さんには自分の人生が変わったと思うタイミングはありましたか？

大森　私もあります。人生のターニングポイントだったなと思うものがふたつ。ひとつめは初めて店長になったとき。何かステップアップするときに、そのときの自分の身の丈よりも上のものを買うことにしているんです。そうすることで自分を鼓舞して、また他のスタッフに対してもモチベーションを高めてほしいなと思って、その年はクリスマス限定の時計を購入しました。ふたつめは、商品企画部に異動になったとき。店頭スタッフで入社し、店長、エリアマネージャーと、ずっと販売員だったので、意外な出来事でした。そのとき初めて企画に携わったのが、珊瑚を扱っているコレクションだったんです。

※大森私物のため、現在お取り扱いがございません。

山野辺　大きな方向転換ですね。

大森　はい。まさか自分が作る側にまわるとは、夢にも思っていませんでした。当時、企画していた珊瑚のジュエリーは、どうしても赤色の印象が強いなと感じていて。お客様が日常的に着けられるにはどうしたらいいか考えたとき、枝珊瑚をポイントで使い、ゴールドのチェーンとパーツに合わせたらデイリーに愛用してもらえるのではと提案しました。

身に着ける人の背中をそっと押してくれるジュエリーとフレグランス

山野辺　大森さんはお仕事で毎日のようにジュエリーを着けると思うのですが、ジュエリーを着けるとどんな気持ちになりますか？

大森　私は仕事に向かうときに、鎧を纏うような感覚でジュエリーを着けるところがあるんです。ジュエリーをひとつひとつ着けることで仕事へのモチベーションを徐々に上げていく感じですね。家に帰って、ひとつずつ外す時が実は一番リラックスする（笑）。山野辺さんは普段ジュエリーを着けますか？

着用ネックレス（内側）「シルバータンザナイトネックレス」¥30,800、「K5チャーム」¥26,400 ※4/7（金）発売予定、（外側）「シルバーアイオライトネックレス」¥27,500 ※4/7（金）発売予定、（人差し指）「シルバー・K10アンバーリング」¥30,800、（中指）「K10ムーンストーンリング」¥44,000 ※4/7（金）発売予定
※ピンキーリングは⼭野辺さん私物
※着⽤商品はTOPの写真と同じです

山野辺　パーティや結婚式くらいで、普段はあまりつけません。でも、がんばった自分へのご褒美のような感じで、節目節目にダイヤモンドを買う、というようなことはしています。

大森　アガットも、自分へのご褒美として購入されるお客様が多いんです。自分のために選んでいる時間って、自分と向き合える時間だと思うんですよね。

山野辺　そうですよね。カウンセリングをおこなうと、みなさん自分のことは後回しにして、仕事や人間関係などを優先している方が多いような気がします。そんなときに、香りのアイテムを使うと、いい香りだな〜と、気持ちがフッと緩んだりして、実は疲れていたんだなと気付いたり。

大森　自分にきちんと目を向けてあげるというのは、実は一番できていなかったりしますもんね。

山野辺　そうですね。香りを日常的に使うことで、自分に目を向けるきっかけになったらいいなと思います。香りを嗅いだときに、気持ちが緩まったり、逆に覚醒したり。ジュエリーも、身に纏うことで心のスイッチが切り替わるという部分は共通しているなと感じました。

大森　特に天然石は、山野辺さんの作る香りに似ているなと思います。グリーンを求めるときは自然や癒やしを求めているのかなと思いますし、気合いを入れるときは黒や赤の強い色を選んだり。なかなか人間の手では作り出せない自然の色味だからこそ、見たときの感動や色から与えられる印象というのも大きいんだろうなと。自然の香りも同じだなと思いました。

山野辺　作為的なものではないから、直接、心と体に働きかけるものがあるような気がしますよね。

大森　実は今日、山野辺さんをイメージして選んだジュエリーをお持ちしました。植物と、これから春に向かう晴れやかな季節からイメージしたナチュラルアンバーのリングです。

（人差し指）「シルバー・K10アンバーリング」¥30,800 、（中指）「K10ムーンストーンリング」¥44,000 ※4/7（金）発売予定
※ピンキーリングは山野辺さん私物

繊細な透かしには古美加工を施し、よりクラシカルな雰囲気に仕上げたナチュラルアンバーのリング。一点ずつ風合いが異なり、愛用し続けることで経年変化が楽しめる。
※金額は左記の人差し指のリングと同じ ※金額は上記の人差し指のリングと同じ

山野辺　普段着けるのはシンプルなものが多いので、新鮮です。色があるものもかわいいんだなって。新しいものにチャレンジすると、雰囲気が変わるので、また気分が上がりますね。

大森　そう言っていただけて嬉しいです。ジュエリーも香りも、癒やしであったり、ちょっとした気合いであったり、身に着ける人それぞれをちょっと幸せにしてくれるアイテム。だから私は、店頭でディスプレイするとき、いつも「いい人にもらわれるんだよ」とジュエリーに心の中で語りかけながら並べているんです。そんな気持ちで送り出したジュエリーをお客様が気に入ってくださるとすごくうれしいです。

山野辺　すてきですね。私も同じように、「yes」を使う人が幸せになることを願っています。使う方にとってそっと背中を押してくれるような存在であれたらうれしいですよね。

自信をもって「yes」と答えられる
ものづくり

大森　「yes」の製品は使用する材料もこだわっていますよね。

山野辺　できるだけ天然素材で自然な状態で作られているものを選ぶようにしています。添加物も入れません。ナチュラルなものを使って心地よいだけでなく、ポジティブな連鎖に繫がればうれしいなと思っています。アガットのジュエリーも素材の安全基準や強度検査に厳しい自社基準を設けられているんですよね。

大森　ジュエリーを加工する際、ニッケルやコバルトなど、一般的に人体に有害とされている物質はどうしても入ってしまうんです。それを出来るだけ薄めて、人体への影響を少なくした金属を使っている商品には「安全マーク」というものを付けています。

安全マークがついたベーシックなK18とK10素材のダイヤモンドリングとネックレス。金属アレルギーを起こしにくい素材で作っています。（全ての方にアレルギーが起きないということではありません）。
「K18ダイヤモンドリング」¥63,800、「K10ダイヤモンドリング」¥49,500、「K18ダイヤモンドネックレス」¥154,000

アガットの製品安全への取り組みはこちら

山野辺　アレルギーでなかなかジュエリーを着けられない方にとっては、そういう表示はひとつの安心材料になりますね。

大森　できるだけ多くの方に安心してジュエリーを楽しんでいただきたいですから。また、日常生活に耐えうる強度であること、とても華奢なチェーンなども、どのくらいの負荷まで耐えられるかという基準をアイテムごとに設けて作っています。特に一番動かす手に着けるリングは、なるべく変形しづらい強度検査基準を設け、商品化しています。

山野辺　商品ごとに違うんですね。

大森　天然石はひとつずつ硬度が違うので、硬いダイヤモンドや水晶はサイズ直しが可能でも、オパールなどはサイズ直しをすると石が割れてしまう可能性もあるんです。だからこそ、ひとつひとつの素材の特徴を把握し、しっかりと検査したうえで商品化しています。

透け感のある⽯が主役のリズミカルなデザインのネックレスと、みずみずしい輝きを放つ天然⽯のリングたち。
「シルバーフェルスパーネックレス」¥30,800、（左から）「シルバーローマンガラスリング」¥52,800、「K5ヒスイリング」¥52,800「シルバー・K10ローマンガラスリング」¥49,500　※全て4/7（⾦）発売予定

山野辺　わかります。私の場合は、はじめは自分のためだけに作っていたのですが、使っているうちに、家族や友人に頼まれて作って譲ったりしていて。そのうちに自分の経験を困っている人に届けたいと思い、全国を回ってワークショップをするようになりました。
そのワークショップではスキンクリームを作っていたのですが、参加者から「あのクリームと同じものがまた欲しい」と連絡がくるようになって。どんどん要望が増えていったので、きちんと化粧品として販売しようと形にしていったので、「yes」というブランドは活動の中で生まれた感じですね。

ワークショップで作っているスキンクリーム。主な材料はオイルと蜜蝋だけのシンプルな組み合わせ。

大森　自分にとっても必要で、周りの人にも必要とされ、求められてブランドが誕生したんですね。「yes」というブランド名には、どのような意味が込められているのですか？

山野辺　誰に何を聞かれても「yes」と答えられるような商品を作っているということ。また活動に対しても「yes」と答えられる内容である、というメッセージを込めています。

大森　決意表明のような意味が込められているんですね。

山野辺　そうですね。ただ、天然素材だから安心ということではなく、例えば植物アレルギー等で肌に合わない方もいらっしゃいますし、使い心地が物足りないという方もいらっしゃいますので、自分に合ったものを見つけるのがバランスがいいのかなと思っています。

大森　そうですよね。ストレスになるのは本末転倒ですもんね。最後に、山野辺さんは「yes」というブランドを通して、どんなことを伝えたいか教えてください。

山野辺　みなさんにお伝えしているのは、突然生活習慣を変えましょうということではなく、暮らしの中で気になることを、10から9に、9から8 に、と少しずつ減らしていくこと。習慣を大きく変えることは心身にとっても負担になりますよね。たとえば、カフェインは体を冷やすといわれているからコーヒーや緑茶を飲む量や飲む時間を変えてみるとか、生活の中にアロマの香りを取り入れてみるとか。そういう些細なことを1年、2年と続けていたら、ちょっとずつ変化が出てくると思うんです。私自身、夜の外食も多いしお酒も好きなので、その分朝食や昼食を軽めにしたり、日頃からハーブティを飲んで体の中から調整したりして、無理なく好きなことをしていますよ。

※ご紹介している商品については、効果・効能に個人差がございます。