Hello!#04
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忘れていた感覚や感情に気付かせてくれるもの
LIGHT UP COFFEE オーナーバリスタ
川野 優馬Yuma Kawano
大学在学中にカフェ「LIGHT UP COFFEE」を
オープンし、
現在は海外でコーヒー豆の生産も
行っているバリスタの川野優馬さん。
川野さんが目指す一杯は、
毎日飲みたくなる日常に馴染むコーヒー。
その思いを聞くうちに、
コーヒーとジュエリーに共通する、
日々を豊かにする力が見えてきました。
個性を大事にしながら、
日常に馴染むものを選ぶ
アガット商品企画 大森庸恵(以下大森) 川野さんがオーナーバリスタを務める「LIGHT UP COFFEE」は、大学生のころにオープンされたんですよね。
川野優馬(以下川野) はい。きっかけは、カフェでのアルバイトでした。店長に憧れてラテアートを練習するうちにコーヒーの奥深さを知って、この世界にどんどんハマっていったんです。それから自宅で豆を焙煎するようになり、納得できるおいしさの豆が焼けるようになったのでお店をオープンしました。
大森 川野さん、実は私、苦味があるブラックコーヒーが苦手なんです……。
取材前に、川野さんも、もともとはコーヒーが苦手だったと伺ったのですが、なぜ苦手なコーヒーの世界に惹かれたんでしょうか。
川野 僕も大森さんと同じで、最初は苦味が好きになれなかったんですよ。カフェでアルバイトを始めたのも、コーヒーが好きだったわけではなく、同世代が多く働いているからという理由でした。
それが、エチオピアの豆に出合ったことをきっかけにコーヒーへの苦手意識がなくなったんです。コーヒーは苦いものだと思っていたのですが、エチオピアの豆で淹れた一杯の、味わったことがない華やかさと、ベリーのような甘味に衝撃を受けたのを覚えています。
だから、同じ苦手意識がある大森さんにも同じエチオピアの豆で淹れたコーヒーを最初に飲んでみてほしいです。きっと印象が変わると思いますよ。
大森 とってもいい香りですね。いただきます。
川野 苦手とおっしゃっていたブラックコーヒーですが、いかがですか?
大森 想像以上においしい! 生まれて初めて、じっくり味わいながらブラックコーヒーを飲みました。ふわっと華やかな香りにも癒やされますし、軽やかで、ほどよい酸味があって飲みやすいですね。コーヒー=苦い、ではないんですね。
川野 そう言っていただけて嬉しいです。
大森 この味わいの違いはお豆によるものですか?
川野 豆が持つ味わいと、焙煎具合で決まります。生産者が大事に育ててくれた豆のキャラクターを大切にしているので、豆本来の味わいが生きる浅い焙煎にしています。さらに、数種類をブレンドするのではなく、単一農園の豆のみを使ったシングルオリジンにこだわっています。
大森 豆が持つ個性を大事にされているんですね。
川野 はい。でも僕の理想は、個性がありながらも、毎日飲みたくなるコーヒーです。個性が強くて、ハッと感動する豆も魅力的ですが、僕たちが提案したいのは、日常に馴染む一杯なんです。
大森 個性を大事にしながら、いかに日常に馴染む美しさを提案するかというのはアガットも同じです。私たちは、みなさんの日常にささやかな豊かさを添えられたらという思いが根底にあります。なので、個性的な石を採用したとしても、細いシンプルなチェーンを合わせるなど、普段着に馴染むデザインを心がけているんですよ。
川野 確かに、本日持ってきていただいたジュエリーにも、個性的な石を使ったものが多いですね。
「K10ペリドットチャーム」¥23,100、「K18チェーン」¥38,500、「シルバーイヤーカフ」¥11,000
大森 今回は、敢えて個性のある石を使ったアイテムを多くお持ちしました。アガットではスタンダードなダイヤモンドや使い勝手のいい華奢なデザインもご用意していますが、多彩な天然石を多くラインナップしているのがブランドの強みなので、石ごとに風合いが違う天然石の魅力も楽しんでいただきたいと思っています。川野さんも、直感で好きなものを選んでみてください。
川野 普段、ジュエリーはまったく身に着けないので、どう選んでいいか悩みますね……。
大森 お洋服の色に合わせて、このグリーンの石はいかがですか? 男性でこういうデザインを着けるのも素敵だと思います。
川野 おお、しっくりきますね!
大森 とてもお似合いです。個性的な石とデザインのジュエリーですが、川野さんの雰囲気に馴染んでいると思います。コーヒーにも、個性と日常に馴染む優しさのバランスを取るコツのようなものがあるのでしょうか。
川野 信頼できる生産者から豆を購入して、冷めても酸味と甘みのバランスが取れるよう工夫して焙煎していますね。仕事をしながら飲んだりしていると冷めてしまいますから、冷めてもおいしく飲める味が重要なんです。その考えをベースに、どんな香りや味わいを提案するかが、お店の個性として表れていると思います。
ジュエリーとコーヒーで出合う、
遊び心と学びの世界
川野 今日僕が着けたジュエリー、恐竜の爪をイメージしているなんて、遊び心がありますね。
大森 こちらは「地質学」をテーマにした2023年の新作なんですよ。
川野 地質学ですか。なんだかお勉強のようなテーマですね。
大森 まさに! 実は「学べるジュエリー」という裏テーマがあるんですよ。ジュエリーに使われている石は、そのほとんどが何万年という時間をかけて形作られてきたもので。そう考えると、何万年も前の素材を日常的に身に着けられるって、すごいことだなと。歴史あるものを身に着けていると実感していただくことで、その「学び」がパワーの源になったり、デザインとはまた違った視点から愛着を持てるきっかけになればいいなと思っています。
「チャームセット」SOLD OUT、「シルバーリング」¥44,000、「K10ペリドットピアス」¥36,300
川野 確かに、そういった素材の背景を知るほど愛着が湧きますよね。
大森 はい。素材から背景や歴史を掘り下げることでより深くジュエリーの魅力を感じていただけたらと。コーヒーも、「この豆の産地はどんな国なんだろう?」というところから興味を持って、知識が深まっていくこともありそうですよね。
川野 そうですね。ちなみにコーヒーは、国ごとに育っている品種が違うため、国によって味の個性があるんですよ。
大森 なるほど。
川野 それぞれの歴史を遡ると、各国にその品種が入ってきた理由や時期につながるんです。もともとコーヒーの木はエチオピアだけに自生していたんですが、貿易が盛んな時代にオランダの商人がインドネシアに持ち込んで、それをルイ14世に贈ったことでフランスの植民地で育てられるようになったとか。コーヒーが飲み始められたのは10世紀、コーヒーショップができたのは16世紀くらいと、ジュエリーには及びませんが、コーヒーにも長い歴史があるんです。
大森 おもしろいですね。ジュエリーにもコーヒーにも、知っているからこそ感じられるワクワクがありますね。
味わって、身に着けて、自分だけの感覚に気が付く
川野 お話ししているとコーヒーとの共通項も多くておもしろいですね。ジュエリーの世界にもハマりそうです。
大森 ジュエリーは自分らしいと感じるものを、シーン別でいくつか持っていただくとよいかもしれません。仕事モードに入るときに気合いが入るアイテムを着けたり、プライベートならちょっとリラックスしたデザインを合わせてみるとか。
川野 気分やシーンによって選ぶ楽しみも、コーヒーのようです。
大森 いくつか選択肢があると、直感で選んだときに、いま自分がどういう気分なのかはっと気付かされることもありますよ。
川野 そうやって自分の感覚を俯瞰して見る瞬間って、いまの時代は特に重要ですよね。直感的に気に入ったアイテムを身に着けたり、おいしいと感じたコーヒーを飲んでみることが、それぞれが意志を持って生きる生き方の入り口になると思いました。
大森 そのご意見は目から鱗です。確かに、気持ちを高めたり、引き締めてくれるだけではなく、そんな気付きを与えてくれそうですね。
川野 僕はコーヒーを通して感覚的なセンスを得た実体験があるんです。エチオピアの豆に出合って「自分はこんな味わいがおいしく感じるんだ!」という感覚に気が付いてから、お酒の好みやキャンプの行き先などの趣味に至るまで、何かを選ぶときに迷うことがなくなりましたし、自分の感覚に自信を持って素直に行動できるようになったんですよ。
現代は情報が溢れているので、流行やネットのレビューなどに流されて自分の考え方すら曖昧になりがちですよね。だからこそ、ジュエリーやコーヒーのような存在が自分の「好き」という感覚を研ぎ澄ませてくれたり、自身を客観視できるようになるきっかけになるんじゃないかと。
大森 確かに、そうですね。
川野 実は、コーヒーに興味を持った後でも、最初は自分がおいしいと思うコーヒーに自信がなかったんです。味覚って主観的なものだし、僕が良いと思った味でも、他のプロの方には認めてもらえないんじゃないかって。でも、僕がおいしいと思ったものが、ちゃんとおいしいと言ってもらえる体験を通して、自分の感覚を信じていいんだと思えるようになりました。それに、いろいろなコーヒーを飲んで、自分の好みはこれだ!って自信を持って選べるようになると、他のことに関しても、自分はこれが好きという感覚に気がつけるようになったんです。
大森 その感覚が持てるようになったら、より生きやすくなりそう。周りの評判などではなく、自分だけの感覚で選んだものこそ、そのときの自分にぴったり合いそうですよね。それは、ジュエリーにも同じことが言えるかも。あれこれ考えるよりも、結局これだ!と思って手に取ったものが、みなさん一番似合っている気がします。
川野 ですよね。なので、僕らバリスタは、お客さまのその感覚を引き出すのが仕事でもあります。コーヒー愛が強すぎて、ついこちらからいろいろ語って情報を与えたくなるんですが(笑)、「今日はどんな気分ですか?」くらいのライトな寄り添い方が一番、その人の素直な気持ちや眠っている感性を自然に引き出せるんですよね。あえて細かいことは言わずにお客さまが潜在的に求めているものを引き出せるのがプロだと思っています。
大森 ジュエリーの良さについて、お客さまについ熱く語ってしまいそうになるのは、私たちも同じです。石やデザインの魅力を存分にお伝えしたくはなりますが、まずはいろいろな種類を身に着けていただいて、直感的に気に入ったものを選んでいただくと、まさにその方にぴったりなアイテムであることが多いです。
川野 さっき一緒にジュエリーを選んでいただいたときも、まさにそうで。もし僕が一人で真剣に選んでいたら、気難しく考え込んであのアイテムは選ばなかったと思うんです。着けてみて思いのほかテンションが上がったのは、似合いそうじゃない? じゃあ着けてみるか、という軽いノリのおかげでもあったと思います。着けた瞬間にアガットのみなさまが「似合う!」とおっしゃってくださったのも嬉しかったですね。
大森 本当にお似合いでした。ジュエリーを着けたとき、どんな心境の変化があったかのかを最後にもう一度教えていただけますか?
川野 細かいことは分からないけど、おいしい!と思えたらそれでいい、というコーヒーに対する考え方と同じものをジュエリーにも感じました。身に着けたときの高揚感は、朝おいしいコーヒーを飲んだときの気分に近かったと思います。ジュエリーもコーヒーと同じく、入り口は気楽でも良くて、でも深く掘り下げるといろいろな発見やおもしろさがあるんだなと。正直、最初はジュエリーにはあまり興味がありませんでしたが、お気に入りを見つけてみたいです。
ほどよくカジュアルな五角形のものは、アバロンシェルとラベンダークォーツを重ねたダブレットのリング。アームと石枠には植物の模様が。3つの石が連なるリングは、カイヤナイトにブルーレースアゲートとクォーツを重ねたトリプレットをメインに、エメラルドとペリドットを合わせた。枠はごろりとした石の形をイメージ。
「K10ラピスラズリリング」¥49,500、「K10アバロンシェルリング」¥38,500、「K10マルチストーンリング」¥41,800
「K10パールチャーム」¥24,200、「K18チェーン」¥38,500、「パールネックレス」¥38,500
川野優馬さんとのクロストークの続きを、
アガットの公式Instagramで
2/6(月)に動画で配信予定です。
川野さんがドリップしたコーヒーを飲みながら、
ゆるくコーヒーとジュエリーの世界の
共通点についてお話します。
ぜひお楽しみに!
●本記事に掲載した商品の価格はすべて税込価格になります。
●掲載商品の在庫状況は日々変動しており、完売している可能性もございますのでご了承ください。